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商標の商品役務(サービス)の「区分」と「区分数」

 商標登録出願する場合、同じ区分(類の番号が同じ)ならいくつ記載しても1区分として料金は変わりません。一方、複数の区分を記載すると、その区分の数に応じて料金がかかります。
 例えば、コーヒー関連の商品について「DEF」という商標(マーク)を出願するとき、区分に「コーヒーカップ」と「コーヒーサーバー」の2つを記載しても、双方とも第21類なので1区分です。「挽いたコーヒー豆」「コーヒー飲料」「エスプレッソ飲料」の3つを記載しても全て第30類なので1区分です。
 一方、「コーヒー牛乳」(第29類)、「コーヒー飲料」(第30類)、「コーヒー入り清涼飲料」(第32類)、「コーヒーショップにおける飲食物の提供」(第43類)を記載すると4区分となります。

 


  商品名・役務名(サービス名)の例            区 分


  コーヒーカップ、コーヒーサーバー、、、          第21類
  コーヒー牛乳、、、                   第29類
  挽いたコーヒー豆、コーヒー飲料、エスプレッソ飲料、、、 第30類
  コーヒー入り清涼飲料、、、               第32類
  コーヒー風味のアルコール飲料、、、           第33類
  コーヒーショップにおける飲食物の提供、、、       第43類



 出願の際に専門知識がないと、区分が間違っていたり、商品やサービスが不明瞭だったりして、特許庁から「登録をしない理由(拒絶理由)」の通知を受けます。拒絶を避けるため補正書を提出することもできますが、手間と時間が余分にかかります。スムーズに登録を受けるには、適切な区分を選択し、客観的に明確な正式名称にすることが大切です。
 当事務所では、費用対効果も踏まえ、貴社の状況に応じた柔軟な出願プランのご相談に応じます。

2024年06月01日

iPhoneの商標権はアイホン㈱が保有

 インターホンなどの製造販売会社であるアイホン株式会社は1955年から第9類などについて「アイホン」の登録商標を保有しています。

 一方、アップル社はiPhoneという商標を日本国特許庁に出願しましたが登録商標「アイホン」の存在を理由に拒絶されました。商標の類否は外観、称呼、観念で総合的に行うため、「iPhone」も「アイホン」も日本人には同じに聞こえるので、称呼が同一類似として登録されないのは、当然の結果です。

 そこでアップル社は、日本国内でiPhoneの商標を使用するために、アイホン株式会社にiPhoneの商標出願を依頼し同社が取得した商標権の使用ライセンスを受けています。アイホン株式会社の決算書などから、アップル社は年間1億5000万円の使用料を払っている模様です。

2024年06月01日

「六本木ヒルズ」<先使用権>

 六本木3丁目に4階建の賃貸マンション「六本木ヒルズ」があります。

 皆さんがご存知なのは6丁目の「六本木ヒルズ」ですね。
 森ビル株式会社は「六本木ヒルズ」の商標権※を保有しています。出願日は1999年12月12日。登録日は2001年1月12日で、更新を繰り返し権利は有効です。
 したがって第三者が「六本木ヒルズ」を許可なく使用して、不動産の貸与や建物の管理をする行為は、この商標権を侵害することとなり、差止・損害賠償の対象となります。
 しかし、六本木3丁目にある4階建賃貸マンションは、1998年11月の竣工時から「六本木ヒルズ」の名称を使用しているので、先使用権があり、森ビル株式会社は商標権侵害を主張できません。ただし、先使用権は使っていた範囲でしか効力がないため、第三者にライセンスしたり、事業の範囲を拡張したりすることはできません。
 また、先使用権の立証は難しいので、トラブル防止には商標権を取得しておくことをお奨めします。
※第4444643号
六本木ヒルズ(標準文字)
役務(サービス)区分第36類
指定役務
建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,ガス料金又は電気料金の徴収の代行
 ちなみに森ビル株式会社の開発した六本木6丁目の六本木ヒルズは2000年4月着工、2003年4月竣工。

2022年11月13日

商標パック料金制(出願~登録)

 多くの事務所は、手続きをするたびに費用がかかる伝統的な料金体系で、商標権取得までに様々な追加費用が発生し、トータル費用が分かりませんでた。

 お支払いが1回のみの定額パックを開始しました。

 社名パック:会社名・団体名などの商標権を取得するためのパックです。

 商品名・サービス名パック:製品やサービスの名称の商標権を取得するためのパックです。

2022年09月01日

意匠権と著作権について

 娘たちが使っている椅子は<トリップ トラップ(Tripp Trapp)>の真正品です。
 この椅子は北欧の子供用品メーカーのストッケ社が1972年から半世紀にわたり販売しています。
 例えば、コーヒーカップなど大量生産される日用品は意匠権で保護し、一品制作的な芸術品、茶道に用いる作家物の茶わんは著作権で保護。子供用の椅子は大量生産されるため意匠権で保護するのが「知財業界」の常識でした。
 ところがストッケ社は日本の家具メーカーを著作権侵害として提訴。一審の東京地裁は従来の常識に沿ってこの椅子は著作物ではないとして訴えを退けました。
 しかし二審の知財高裁は、意匠の保護対象を、著作物から除外するとの規定はないとして、この椅子が著作物であると判示しました。
 意匠権を保有していることは特許庁で謄本(1,100円)を取得すれば立証できます。一方、著作権は創作と同時に手続きなしで発生するため、自己の著作権は自ら主張立証しなければなりません。
 ストッケ社は「この椅子は2本脚で、部材Aと部材Bが66度の鋭角で・・・・・」と独創的なデザインであることを懸命に主張して著作物と認められました。しかし、被告の椅子は4本脚で、原告著作物と似ていないため侵害ではないと判断されました。平成26年(ネ)第10063号著作権侵害行為差止等請求控訴事件(平成27年4月14日判決)
 意匠権は取得に手間と費用が掛かりますが権利は堅固に保護されます。一方、著作権は手続きなしで発生しますが、いざ権利行使をするときに手間と費用がかかります。制度のメリット・デメリットを理解したうえで上手に活用したいものです。
 特に意匠登録制度は2020年4月に大幅に制度改正され、対象外だった「建築物の外観デザイン」や「内装」なども登録できるようになりました。関連意匠制度も変更され、存続期間が25年に延長されるなど大幅に変わっているのでご確認ください。

2021年09月06日